つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

友人が移住した岡山県矢掛町への旅

 この連休中、香港駐在時代に一緒に100キロトレールを歩いた仲間の移住先である岡山県西部の矢掛町というところに行ってきました。東京育ちの彼は、妻の出身地に定年後Iターンしたのですが、なぜ知り合いのいない町に行くという一大決心をしたのか。そして、山間部にある同地でどういう暮らしをしているのか、小生興味があったので、同じく香港で一緒に山登り、海遊びなどして楽しんだ仲間とともに訪ねたのです。
 小田郡矢掛町は倉敷よりちょっと広島県寄りの山間部にあり、小盆地の町です。旧山陽道の宿場町で中心街の街道筋には昔の家屋が残っていたため、行政当局は、観光利用で街並み保存に努めています。つまり現存の古民家、古い商店舗の保存だけでなく、補助金を出して昔の家屋に戻しているのです。ですから、かなり旧街道らしい雰囲気がありました。
 友人は、移住後まだ3年にもならない程度ですが、恐らく妻の友人、知り合い網などの伝手を使ってしっかり地元に根を下ろし、地域興しに貢献していました。大名などが参勤交代の際泊まる陣屋跡は観光名所になっていますが、彼はボランティアでその解説員もしています。われわれは実際、その解説を聞きましたが、もう何十年もそこでやっているようなよどみない話しっぷりでした。
 矢掛町の隣は古い屋敷跡、堀割りや大原美術館がある美観地区で有名な倉敷市。ここは毎年相当数の観光客が訪れています。ですから、倉敷とタイアップする形で「旧山陽道の街道屋敷群」ということで売り出したら、観光名所の少ない岡山県としては結構な観光コースになりうると思いました。矢掛町当局もそうした将来像を描いているようです。
 でも、そのためにはちょっと画竜点睛を欠くところがありました。旧街道に電線が立派に張り巡らされていることです。埼玉県の川越市は、電線の地下化で客足が伸びたと聞いています。電線は旧街道にはふさわしくないので、ぜひ地下化をしてもらいたいなと思いました。町当局も当然考えているでしょうが、これには大量の資金が必要です。国のふるさと創生資金や電力会社や通信会社の協力を仰がなくはなりません。
 それから、旧街道に沿って小田川という大きな川が流れていますが、そちらの方の観光開発は全然されていないのが気になりました。水辺というのは観光客が行きたがるところですから、こちらの方も有効利用する必要があります。例えば河沿いを整備して観光道路にし、昔風の遊歩コースや橋(欄干だけでも変える)を造り、ライトアップするとか。ソフト面では、観光屋形船や鵜飼いのショーを始めるとか、いろいろ工夫はあると思います。
 友人が移住を決意した心境は分かりませんが、見たところ移住後の生活に十分満足しているようです。そして、町当局と接触し、しっかり町興しのアイデアを出し、協力しています。自らが参加した香港100キロトレールウォークをマネして山間のトレールルートを開発、トレールハイクを進言しているとか。カメラが趣味なので矢掛町をアピールするカレンダーも作っています。ヒマを持て余しているどころか、結構忙しそうでした。


 上の写真は、岡山県矢掛町の旧山陽道付近の風景。上の方は旧陣屋跡石井家の家屋、下の方は川越でも有名になっている町家の鐘楼。電線が美観を壊しています。