つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

大気汚染と大陸客減少が香港の印象

 2泊3日の駆け足で香港にビジネストリップしてきました。香港は昨年もちょうどクリスマスのころに行っており、1年ぶり。今回は、ビジネスミーティーングや友人との会食ありで時間がタイトであり、ビクトリアハーバーのクリスマス・イルミネーションを堪能するヒマはありませんでしたが、必要な書籍類は購入してきました。
 1年前の香港と変わった印象と言えば、これはちょっと主観的な要素も入りますが、空港から市内に入るとモヤが立ち込め、随分空気が悪くなったなということ。また、香港に来る大陸の観光客が少なくなったのではないかいうものです。モヤについては、空港から乗ったタクシーの運転手に「大陸の汚染の影響か」と聞いたところ、「そうだ」との返事でした。先々週行った沿岸部の上海もかなりPM2・5で空が汚染されていましたが、香港も例外ではないようです。
 この運転手はマンダリン(普通語)も流暢に話せるように知的レベルが高く、地球温暖化をかなり心配していてパリで開かれたCOP21にも関心を示し、「かつて香港の冬は摂氏5度6度にもなったが、今では10度以下に下がらない。香港はもう熱帯と変わらないよ」などと嘆いていました。小生が住んでいた20年前に比べて確かにモヤが濃く、定住しにくい感じです。
 1年前の香港では、空港でも市内でもかなり大陸客がいて、あちこちから大声のマンダリンが聞こえてきました。それが今回、その状況が見られません。実は昨年秋、学生が市内のメインストリートに座り込む大デモンストレーションがあって、大陸客が減少したと言われたのですが、今年は疎外要因は何もないのに、それでも少ない感じでした。
 香港灣仔にある有名書店「天地図書」に行ったところ、いわゆる大陸の政治内幕、暴露本がほとんどないことに驚きました。セントラルの「三聯書店」にはいく時間がなかったので、全体像はつかめませんでしたが、天地図書を見る限り、そのような本を買う大陸客が来ていないのか、あるいは香港人自体が大陸の政治内幕などに興味を示さなくなったのかとの印象でした。
 香港人は「中国人」であると思っていないし、大陸の人間とは違うレベルの「人種」と認識しています。一方、香港で大陸客の来訪を歓迎していないということが、すでに大陸内でも人口に膾炙しており、多くは香港へ行くことを望まなくなりました。なるほど買い物を目的にするなら、歓迎されない香港より、サービスが行き届き、安全で商品豊富な日本を渡航先に選ぶのは自然なことです。
 香港返還から来年で19年目、2017年には20年経過となります。大陸当局が徐々に香港統治のグリップを強めるのに反比例して、香港市民は何やら政治的無関心というか、一体化とは程遠い冷めた心境にあるようでした。

 上の写真は、香港の市内を走る二階建てトラム。久しぶりにヘネシーロードの短距離だけ乗りました。