つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

沢田研二の公演中止理由はおかしい

 元GSタイガースのヴォーカル、沢田研二の70歳古希記念リサイタルが、開演直前(1時間前くらいとか)になって突然中止になってしまいました。会場のさいたまアリーナまで来ていた多くのファンは「病気かもしれない」と心配したようですが、なんてことはない、後日、本人が横浜の自宅近くで記者に語ったところによれば、観客が少ないのでメンツもあって自分の判断で中止にしたとのこと。人騒がせな話どころでなく、ずいぶん人を食った話です。
 それにしても、自宅付近で記者に囲まれた沢田を見たときにびっくりしました。ケンタッキー・フライドチキンの店前に立っているおじさんかと思いました。その昔、端正な顔立ちで舞台狭しとばかりに飛び跳ねて歌っていたあの御仁がもうこんな歳、こんな老人になったのかという驚きです。でも自意識の強さだけは変わらないようでした。
 一定のある時代、舞台でスポットライトを浴びて大勢の人からキャーキャー言われた人だと、現在、そういう状況になくとも脚光浴びた時代が忘れられないものなんですね。古希という節目のリサイタルだから、本人は昔のファンが集まれば9000人くらい入るのではないかと考えていたようです。でも、当日、チケットの売り上げや会場に集まった人たちを見て「こりゃー、7000人くらいじゃないか。空席が目立ってしまう。それでは僕の矜持が許さない」とでも思ったのでしょう。
 それで突然、公演をキャンセルしてしまいました。小生の率直な感想を言わせてもらえば、9000人と予想していたのに実際に7000人になってしまったことが、そんなに矜持に触れることか、メンツにかかわることか。たった2000人の差じゃないかと思うのですが、脚光浴びた過去を持つ人はそうは思わないのかも知れません。空席があることは許されないのかも知れません。
 いずれにせよ、当日、会場周辺に集まった入場希望者こそいいつらの皮です。長年のジュリーファン、前からチケットを買っていた人、昔の有名シンガーを見たいと望んでいた若者…さまざまな人がいたと思いますが、出演者当人の”気まぐれ”で楽しみはふいにされてしまったのですから。「会場まで来させて、直前中止とはなんとも理不尽な話」と多くの人は感じたことでしょう。
 他の歌手のショー、いやイベントでこんなことってよくあることなんでしょうか。いかに矜持に関わるとはいえ、沢田の行動はおかしいと小生は思いますが、”世論”はどうなのか。そこで、試しに小生が中国語を教えている大学1年25人クラスの学生に反応を聞いてみました。すると、「沢田の取った行動は理解できる」と返してきたのは一人だけで、ほぼ全員が「ノー」の反応でした。多くの若者は小生と同じ感覚なんだと知って安心しました。

 上の写真はカタール・ドーハ空港ターミナル内の風景。交差路に巨大なぬいぐるみがありました。