つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

IWC脱退は松岡洋右「連盟よ、さらば」思い出す

 一昨日26日、日本政府は国際捕鯨委員会IWC)から脱退することを宣言しました。1951年の加盟と言いますから、70年近いメンバーシップの歴史を持っていた団体です。商業捕鯨の再開を認められなかったことが脱退の理由だそうですが、そんなことで辞めていいのか。国際的な協調団体に別れを告げることは何かちょっと危ないと言うか、いや、もっと深刻に今後が心配になってしまいます。
  IWC脱退と聞いて、小生は真っ先に1933年、松岡洋右外相が「連盟よ、さらば」と言って国際連盟を脱退したことを思い出してしまいました。この国際連盟脱退は、「満州国」を調査したリットン調査団が「満州は日本の傀儡国だ」と報告し、連盟がそれを認めたことへの反発でしたが、その後、日本は多くの国と対立を深めて国際的に孤立し、戦争の道へと突き進んでいきました。協調団体から脱退することは歴史を振り返ればリスキーなことだと思います。
 アングロサクソン系の国家を中心に商業捕鯨に反対する国が多数で、もう30年以上、日本はコマーシャルベースでクジラを採っていません。そこで調査捕鯨などという形で南氷洋で数頭のクジラを捕獲してきましたが、それでもグリーンピースなどという環境保護団体に邪魔されてきました。で、水産庁にすれが”悲願の脱退”だというわけでしょう。
 小生は、クジラの肉をおいしいと思ったことはありません。それは、小学校の給食で結構頻繁にクジラのカツレツが出てきて、食傷気味であったからかも知れません。友人の中には、今でも飲み屋でメニューの中にクジラを見つけると懐かしがって頼むヤツがいるけど、実際に世の中でクジラがないと食生活が成り立たないと思う人はどのくらいいるのだろう。恐らくかなり少数ではないでしょうか。小生に限っては、まったくクジラの必要性を感じないので、商業捕鯨ついて特に関心もありません。
 日本は今後少なくとも南氷洋に行くことはできず、日本の領海と排他的経済水域EEZ)に限っての捕鯨となります。それでも十分な食用のクジラは確保できると踏んだのでしょう。脱退を決めたのは安倍政権の政治主導と言われています。二階俊博幹事長の選挙地盤は、沿岸漁法でクジラ採りの歴史を持つ和歌山(太地町)であり、安倍首相の選挙区は捕鯨基地でもある下関港を含みます。2人の強い発言力の結果だと思いますが、もし、そんな選挙事情で国際協調団体から簡単に脱退してしまったとしたら問題でしょうね。
 案の定、強硬な反捕鯨国からは日本の脱退決定に反発の声が上がりました。今、世界のクジラの生息数は絶滅を招くような頭数ではなく、日本が採る程度では生態系にほとんど影響がないようです。それなのに、アングロサクソン系国家が何だか意地を張ったように執拗に捕鯨反対を言うのもちょっと解せない感じがします。ですが、安全保障政策で米国をはじめアングロサクソン系諸国家と共同歩調を取っている限り、やはり捕鯨程度のことで対立するのはまずいのではないかと小生は思います。


 上の写真は12月初旬に一泊させていただいた日経新聞熱海伊豆山保養所の正門と、部屋、風呂場から見えた景色。熱海の湾と初島が美しい。