つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

カンボジア人民は意外に中国嫌い!?

 

 3月1日からきょうまでの6日間、カンボジアを旅行してきました。アンコールワット観光が主体のパッケージツアーへの参加ですが、初めての訪問なので興味津々。自由時間を使ってバイクタクシーを縦横に走らせ、街のさまざまなところで人の話を聞きました。まあ、現地のクメール語が話せないので、英語の会話が主体になりますが、それでも庶民感情の一端には触れられたと思います。

 カンボジアに行ってまず驚いたのは、街中ではほぼ100%米ドルが通用していること。空港やホテルはもとより、土産物屋、レストラン、マッサージ店、スーパーマーケットとどこでも。現地主通貨のリエルは、見た目紙質のいい立派な紙幣ですが、1ドル以下の補助通貨程度にしか使われていませんでした。これを見る限り、カンボジアはあたかも米国の属領のような感じです。

 独裁化しているフン・セン首相率いる政府は、近年、中国の経済支援を受けてかの国への経済依存を強めていますが、意外なほどに人民元は通用していないことにも驚かされました。小生は今回人民元を持ち込み、至る所で「使えるか」と聞いたところ、オールドマーケットなど観光客向けにマルチ通貨受け入れをしているところは別にして一般の店では「フン」と冷たくあしらわれました。

 ガイド氏に聞いた話ですが、ある調査で、カンボジア人に対し「米国と中国、どちらが好きか」と問うたところ、米国人が好きと答えたのが85%で、中国人を好ましく思うのはわずかに15%だったとのこと。政府がいかに中国寄りになっても、米ドルの過剰流通、英語主体、中国語の普及度の低さを見る限り、現地人が”西側寄り”であることは明確に分かるというものです。

 では、なぜ現地人は経済援助を受けながらも、中国をそれほど好きになれないのかという素朴な疑問ですが、それはどうも1970年代にあったクメール・ルージュポル・ポト派)の記憶がいまだに強烈に残っているからのようです。ポル・ポトは知識人などを大量虐殺(一説には300万人)、その上都市破壊を行い、都市住民すべてを農村に追いやるなどの過激な農本主義政策を取りました。

 このやり方は、1950年代の中国の人民公社化を真似したもの。ポル・ポトは実際に人民公社化の推進者、毛沢東元主席をすごく尊敬しており、これにこたえて当時の中国もポル・ポト政権とこのカンボジアの狂気の国策を支持していたのです。独裁者、虐殺者を支持したという印象が強烈に残っているので、カンボジア人は心底では中国人を信用せず、いや嫌悪感さえ持っているのです。

 巷間、中国寄りとみなされるカンボジアですら、現地人民はこの程度なのですから、この状況から推察すれば、中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」が他国でも本当に機能しているのか、実に疑わしいところがあります。

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 上の写真は、シェムリアップにあるアンコールワットサンライズ風景と遺跡群の一部を背にした小生。