つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

令和、令和のバカ騒ぎには驚くばかり

 いやー、令和、令和のバカ騒ぎには驚きました。恐らく渋谷のスクランブル交差点でのカウントダウンはあるだろうなと思っていましたが、日本各地、とりわけ有名神社での御朱印状もらいに長蛇の列ができたり、関取や動物を使った令和の人文字つくりまでやるとは恐れ入りました。エコノミストに言わせると、経済効果は7000億円以上あるとのことですから、ゴールデンウイークに合わせた新天皇の即位、改元は良かったのでしょう。

 前にこのブログで書いたように、小生は元号に関心はありません。自分が日付を書き留めるときに元号を使ったことなどまったくありませんから。それでも、世間で使われる以上、新元号にどういう漢字が使われるのか、多少は興味がありましたので、4月1日の菅官房長官の会見はライブで見ていました。正直、プレートに「令和」という二文字が出たときには驚きました。

 第一印象として、「レイワ」という音感はいいなと感じました。でも、漢字の「令」は命令の令であるし、「和」は2世代前の昭和ですでに使われた字ではないか、新鮮味がないなと思いました。その後の説明で、令は令夫人、令嬢などに見られるように美しいとかめでたいという意味があるそうで、それならその字もありかと納得はしましたが、和の字はもっと工夫があっても良かったのでは。平成と令和の中2文字を取ってつなげると平和となるので、いかにも「平和を希求する」今の日本的な選択ですが、、。

 4月30日まで、テレビでは「平成最後の何々」と叫ばれていましたが、5月1日には「令和最初の・・」となりました。それはそうなんでしょうが、なんでも、何の出来事にもそれが言われてしまうのには驚きました。プロ野球を例に取れば、「令和第一号のホームランは巨人の坂本」というのはまだいいのですが、「令和初めてのスチール」とか「令和初めてのタイムリーヒット」などと言われてしまうと、さすがに食傷気味になります。

 テレビの番組も、皇室の行事関係のほかは、まるで正月を迎えたようなバラエティーものばかりでした。おめでたい、おめでたいの一色。それで、ふと思いました。昭和から平成に代わった時はどうだったのかと。当時、小生はマスメディアの世界にいましたが、こんなに騒いでいなかったように記憶しています。それはそのはずで、平成への改元昭和天皇の逝去によるものであって、世間が喪に服しているときにバカ騒ぎはできなかったでしょう。

 という観点で見ると、平成の天皇陛下生前退位は大正解ではなかったか。少なくとも新天皇の即位と新元号だけを喜ぶイベントに変え、莫大な経済効果をもたらしたのですから。やはり、現天皇の逝去に伴う一連の「沈痛な」イベントと新天皇の即位という祝いのイベントを連続して行うのは無理があります。国民は悲しんでいいのか、喜んでいいのかとまどってしまいます。現上皇は自らの経験から、そういう状況を見極めておられ、生前退位を選択したのだと思います。

 前々から感じていましたが、現上皇、いやご夫妻はさすがに聡明だし、立派な方々です。憲法の精神や戦後の皇室のあるべき姿を十分過ぎるくらいに理解し、ルーティン公務のほかに、戦跡への慰霊の旅や、災害現場への励ましの旅などを重ね、象徴としての責務を立派に果たされてきたのですから。どうか今後は悠々自適の優雅な老後を思って欲しいと思います。

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上の写真は、間もなく17歳になる我が家の老犬マオ。獣医さんから「マオちゃん、今年の桜は見られないかも」と言われていたのですが、桜どころか「令和」も見られました。