つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

秋の夜の静寂で呑むべきはやはり日本酒

 今日この頃、大分、秋が深まってきました。午後5時半、夏の日ならまだ空にお天道様が出ているのに、今の季節ではもう真っ暗です。暗闇が早く来るというのは、その分、早く夜の気分に浸れることになるので、酒を呑みたくなる気持ちも早まります。そう、それは歓迎すべきこと、秋はやはり夜の静寂の中で、冷気を感じながら楽しむ酒が最高です。特に、日本酒は秋にぴったりの酒でしょう。

 小生、昔、大学の授業の帰り、1時間半かけて横浜の桜木町に戻り、駅前の餃子店「王将」で餃子2皿を肴に生ビールを飲むのが至福の時間でした。立ちながらの授業は辛いけど、このあと、家の近くに帰ってビールをぐいーと飲むことを思うと何となく疲れが吹っ飛び、晴れやかな気分になったものです。ところが、胃がんで胃を全摘出して以来、泡状の飲み物を取るのは辛くなりました。泡が胃に染み渡るような爽快さはなく、泡が管の中に充満して不快な気分にさせられるだけだったのです。

 ですから、その後、大学の帰りに餃子2皿とレモン酎ハイを飲むようになりました。酎ハイも泡があるけど、ビールに比べたら格段に少ないので、まあまあ不快を感じないで飲めるのです。それなら、端から泡状のアルコールなどは止めろという意見もあるのでしょうが、やはり最初の一杯は泡状の爽快感は必要なのです。しかし、残念ながら、駅舎建て替えのため、桜木町駅ガード下の王将はなくなりました。帰宅途上の餃子で一杯は残念ながら、できなくなってしまったのです。

 それはともかく、自宅では今、越後村上の銘酒「〆張鶴」の花ランクを飲んでいます。〆張鶴は値段の高い方から「雪」「月」「花」ランクとあって、花ランクが値段的にいちばん低級なんですが、小生は花が一番マッチングして、好きです。過去にわざわざ村上市まで行って雪を買って飲んだのですが、ちょっと淡泊すぎてうまくない。日本酒は値段が高ければいいというものでもないようです。

 小生は〆張鶴醸造会社の回し者ではないのですが、とにかく口当たり、深み、味わい、どれをとってもこの酒は申し分ありません。あえて〆張鶴以外の推薦酒を言うなら、それは同じ越後の「越乃景虎」でしょうか。巷間評判がいい「久保田」や「八海山」は小生にはちょっと辛い感じがしますし、「上善如水」や「越乃寒梅」はちょっと淡泊過ぎる。日本酒の中でも概して越後の酒は絶品ですが、その中でも甘口の〆張鶴は図抜けています。

 最近、中国から帰ってきた人から、小生と彼の共通の友人である蘇州人から託されたとのことで四川省宜賓の銘酒「五糧液」を2本もらいました。前に蘇州に行き、その友人と会った時に「僕は五糧液が好きなんです。昔、北京に住んでいた時には毎晩のように飲んでいました」と話したのですが、友人はそのことを覚えていたようです。小生が北京にいた1980年代初頭はまだ五糧液は安かったので、小生でも飲めたのですが、今は一瓶2,3万円もする高級酒です。結局、この五糧液も大事に収納し、そのまま飲まないことになるのでしょう。

 でも、最近、やはり中国を旅行してきた飲み友達(女性)から、陝西省産の「西鳳」という酒をもらいました。これは自宅で飲み始めましたが、味が何か「五糧液」に似ているのでびっくりしました。なかなか深みがあってうまい酒です。中国酒としては、国酒の「貴州茅台酒」が有名ですが、小生はあまり感心していません。いずれにしても、中国酒は中華料理に合う酒で、日本の長い夜の独酌の友としては、やはり中国酒よりは日本酒の方がいいのかなと思います。

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 上の写真は、桜木町駅近く野毛飲み屋街の立ち飲み屋風景。