アフガニスタンで、現地住民の生活改善のため努力されていた中村哲医師がテロ集団に狙われ、落命したのは本当に残念でした。まず、ほかでもない中村医師本人を狙った意図的殺人であることに驚かされます。犯人がアフガン人であるなら、自分の国のために無償で奉仕する人間に殺意を持つのは、いったいどういう理由なのか。それに、テロリストは中村医師に何発も銃弾を撃ち込み、死の確認までしているとのこと。その残忍さに怒りを感じます。中村医師の無念さもさることながら、最大級の善人を亡き者にする、この世の不条理さを心から恨みます。
中村医師がアフガニスタンに貢献し、彼の活動が歓迎されていたことは、ガニ大統領が空港で彼の棺を担ぎ、遺族の母娘に手厚い弔辞を述べられていたことからも分かります。大統領は衷心より同医師に敬意と哀悼の意を表したかったのでしょうが、その態度は実に立派でした。日本国民の中には当初、「こんな事件も起こすのか、後進国のアフガニスタン」と軽蔑心がなかったわけではないのですが、ガニ大統領の棺担ぎの行動で、発展途上国にも素晴らしい人間がいるんだということが分かり、かなりの部分救われました。
それにしても、問題なのは中村医師の亡骸を迎える日本側の対応です。成田空港に行かれたのは、政府関係者としては鈴木外務副大臣だけだったようです。これには大いに不満を感じます。中村氏は非政府系組織「ペシャワール会」の活動人であり、確かに、政府とは関係ないと言えましょう。でも、ＮＧＯであっても、中村氏は現地では日本人として活動、日本の代表者として認識されてきたのでしょう。つまり、彼は日本人の素晴らしさを世界にアピールした人間なのです。
であれば、日本国民全体が彼の死に衷心から哀悼の意を示さなければなりません。日本国民の代表者が政府であるならば、政府関係者が当然最大級の出迎えをする必要があります。外務大臣はもとより首相自身が行ってもおかしくない。いや、それが当然かも知れません。首相が空港で出迎えることは、空港で棺を担いだガニ大統領への返礼でもあります。と小生は思っていましたが、安倍首相も茂木外相も顔を見せなかった。これは非常に残念です。
国会も終わり、週末で休みたいところでしょうが、やはり首相が空港で出迎えてほしかった。そうすれば、「桜を見る会」問題で沈滞気味の安倍氏自身の人気も盛り返せたかも知れません。所用があって本人が行けなかったら、代わりに奥方が行かれても良かったのです。いろいろ問題がある奥方ですから、これでこれまでの減点をいささかでも挽回できたかも知れません。安倍御夫妻にとってはまだ遅くない。少なくとも、告別式には行かれてください。そうすれば、一般国民の心もやわらぎます。
上の写真は、先週末、勉強会恒例の一泊忘年会のために湯河原温泉に行った時のスナップ・ショット。
