つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

森田知事、台風15号さえなければ良かったのに

 またまた権力腐敗もどきの話で恐縮ですが、森田健作千葉県知事への風当たりが強くなっています。9月の台風15号で、南房総地域が暴風の被害の上、長期間にわたって停電、断水が続き、人民が塗炭の苦しみを味わっている時に、優雅に散髪に出かけたり、ラジオ番組の収録に出かけたりと、まるで状況が分かっていないような行動を取っています。これは、この人の個性なのか、あるいは単純に政治家になれない芸能人のパープーなのか分かりません。要はこんな人を3度も選んだ千葉県民の”失策”でもあるのでしょう。

 森田健作は、小生と同世代人。昔、テレビで剣道を題材にした青春ドラマや、松竹映画「砂の器」で若い刑事役を熱演していたのを見ており、感じも爽やかなので、好感を持っていました。そんな彼が政治家に転身して衆院選に出てきたのは、まあ、許せます。衆議院議員は大勢の中の一人ですから、基本的に自民党の賑やかし候補、投票マシーンの一人として存在していたのは良かったと思います。でも、首長となると、ちょっと違います。

 そもそも彼がなぜ千葉県知事になったのか。最初の候補者として出てきた時に、東京湾横断道路の通行料金を3000円から800円に引き下げるよう主張し、それを自民党政権がそれを呑んだので、800円が実現。それ一つで、彼は県民の圧倒的な支持を得て当選しました。ポピュリズムの勝利です。横断道の料金引き下げで一番恩恵を受けたのは南房総の人たちでしたが、皮肉なことに、森田知事の今回の行政能力の悪さで一番被害を受けたのも南房総の人たちでした。ポピュリズムにつられると飛んだしっぺ返しが来るという証です。

 彼は子供のころからの芸能人ですから、芸能界のことは熟知しているでしょうが、どう見ても、彼に行政能力があるとは思えません。首長は特に、大変な事態が起きた時に最大限の力量、努力が問われるものですが、彼は知事の指揮力など微塵も考えていなかった様子。これまでも地方行政のことはよく分からず、恐らく部下に任せっきりだったので、今回も「部下が善きにはからえ」という感じだったのでしょう。ところが、自然災害などずっとなかった千葉県で思わぬことが起こり、計らずも無能さを露呈することになってしまったのです。

 それにしても、一時行方が分からなくなったり、床屋に行っていたりしていたというのは滑稽の極み。行方不明”事件”は、自宅(別荘という説も)がどうなったか心配だったので、自動車を飛ばして様子を見に行ったのが真相のよう。他のことはすべてさて置き真っ先に自分のことを心配するのは、まさに首長にあるまじき子供じみた発想。床屋”事件”は、恐らく緊急事態を受けて知事のテレビ露出が多くなるので身だしなみを整えたいと思ったのでしょうが、これは完全に芸能人の発想です。

 でも、芸能人上がりの知事は駄目とは一概に言えないようです。世評を聞くと、かつての漫才師上がりの横山ノック大阪府知事はそれなりに実績を上げています。逆に、行政に熟知した官僚上がり、国会議員上がりでも駄目な人は駄目なケースも。要は属人的なところがあるのかも知れません。森田知事も、あの台風15号さえなかったら、横断道の料金を下げさせた勇猛果敢な知事という評価のままで終わったことでしょう。実に、台風が恨めしい。

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 上の写真は、自宅近くの、いつもジョギングをしている横浜・野毛山公園の樹間から見た黄昏時の富士山。