つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

豪華客船の悲劇、昔は氷山、今は感染症

 新型コロナウイルスまみれになってしまって、横浜港周辺をさまよっていた豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」号の”歴史的な旅”もようやく幕を閉じそうです。陰性の人は帰宅が許され、陽性の人は陸地の病院に収容されることになったからです。10日余りの東シナ海南シナ海の旅行が、日本近海の、いや横浜、東京湾辺りの30日近い旅路になってしまったのですから、ご同情申し上げると同時に、本当にお疲れ様でしたと言ってあげたいです。

 でも、一定の人数で一定の時間を共有する交通手段というのは、かならずこうした感染リスクが伴うものです。ということで、今回は豪華客船ばかりでなく、墨田川を上り下りする屋形船にも感染疑惑が出ました。豪華客船から屋形船まで、大小にかかわらず、船ならどこでも感染が広まるというのは本当に恐ろしい。20世紀初頭のタイタニック号は氷山にぶち当たって沈没しましたが、船にとっては感染症が”現代の氷山”なのかも知れません。

 でも、10日以上滞在の客船に比べ、屋形船の周遊なんてせいぜい2時間程度、それなのに感染してしまうって何だろう。中国では、人と人との濃厚接触ばかりでなく、エアロゾル感染、つまり一定の空間を共有するだけで感染することもありうると言い始めましたが、今回のウイルスの伝染性の強さは本当に半端ない感じです。ウイルス君は、目に見えないものですから、どうやってわれわれに近づいてくるのか分からない、厳密に防ぎようがないんですね。もう恐いを通り越して、ほとほとあきれるというか、どうにでもなれというやけを起こさせるというか。

 きょうの朝刊を読んでいたら、中国では春節期間の交通手段の利用率は例年の半分とのこと。まあ、大都市武漢のほか、沿岸の繁栄ベルト地帯である浙江省の町でも都市封鎖をしているところもあるくらいですから、予想されたことでしょう。これが経済に与える影響は、半端ない感じ。中国は近年、GDPに占めるサービス業の割合が伸びており、2015年には5割を超え、現在は6割に近づきつつあります。今回のウイルス災害は、人・モノの移動や消費意欲をかなり減退させていますから、当初目指した通年成長率6%増なんてとても無理。恐らく、3,4%アップもあれば良い方ではないか。

 日本も、経済のシュリンクばかりでなく、人間の行動範囲を大きく制限させており、小生の周囲でもさまざまな恨み節が聞かれます。「感染が恐くて、持病で通院する以外は外に出ない」という老人、「感染の豪華客船がうろうろするため横浜のイメージを損ね、客がばったり来なくなった」と嘆く小売業の店員、「COVID-19のおかげで、普通のインフルエンザにもかかれない」と心配するサラリーマン、「ネットに出ている感染マップを見て、なるべくそこを避けて通る」という人も。日常生活に影響及ぼすことはなはだしい。

 昨日、ある経済アナリストの話を聞く機会がありました。日本のメディアではほとんど報じられていないが、現在、米国でかなり悪質なインフルエンザがはやっていて罹患者は2500万-2600万人、死者はすでに1万人以上、致死率は新型コロナウイルスよりかなり高いとのこと。ですから、新型ウイルスに必要以上に心配することはないと言っていました。確かにそうなのかも知れません。が、隣の国の発生で、しかも「肺炎になる」と聞くと、やはりこちらの方が恐いです。

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 上の写真は、今週初め、川崎にある天然温泉に行く途中で見掛けた河津桜。新型ウイルスの影響で、今年の花見はどうなってしまうのでしょうか。