つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

WSJの記事見出しには差別意識あるような

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、今回の新型コロナウイルス騒動について論説記事を掲載した際、「中国はアジアの本当の病人(China is the Real Sick Man of Asia)」という見出しを付けました。中国外務省はこれに激怒し、WSJ側に謝罪要求を突き付けんですが、聞き入れられなかったので、在中国のWSJの記者3人の記者証を無効にしました。事実上の退去措置です。一見、厳しい感じもしますが、いざ、日本、いや自分がこういう言い方をされたらどうかなと考えてしまいました。

 中国は感染症の発生源であり、その責任は重大ですが、だからといって故意にやったわけではない。その上、習近平指導部は責任を感じて、今、「人民戦争」という言い方をして疫病に対し、人民の自由さえ奪うような、想像を絶する抑圧作戦を展開しています。そんな時に「本当の病人」などと中傷だか、揶揄だかをされてはたまったものではありません。自分の身に振り返って、「お前はこの界隈で最大のワルだ」とか「君は会社のガンだから、皆が迷惑する」などと言われたら、いい気持ちがしないどころか、不快感を募らせるでしょう。

 また、中国外務省は「この見出しには人種差別的なニュアンスがある」とも指摘しています。確かに、「アジアの本当の病人」という言い方は、アジアはもともと駄目なところだが、その中でも最悪の国は中国だと強調しているようにも思えます。「世界の」と言えばまだ目立たないものの、「アジアの」という地域的に限定している分、差別的な言い方ととらえられても仕方がないと思います。小生も同じアジア人ですから、「米国の強国意識」いや「白人至上主義」の意識すら感じ、反感を覚えます。

 前回も書きましたが、米国は新型のインフルエンザで相当の患者を出し、死者も1万人を超えています。小生はWSJ論文記事の原文は読んでいないのですが、恐らく自国のこの感染症には触れていないのではないか。自らに降りかかる火の粉も払えないくせに、他の国を批判するとは言語道断だと思います。政治的な政策、経済対策の是非ならまだしも、犯罪対策とか、疫病対策とか、社会の安定を保つための必死の対応に文句をつけるべきではないでしょう。それが礼儀です。

 という視点に立つと、今回の中国の記者追放対応はそれなりに理解できます。基本的に報道に自由はあるけれど、自制すべきところもあります。何を書いてもいいということになりません。この時期に、国家を病人扱いにし、懸命な努力を冷笑するような記事、いや見出しについて、WSJは反省し、謝罪すべきでしょう。

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 上の写真は、台北駅前の地下街で見た2匹の熊。