つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中欧、北欧、マスク装着の人はいない

 中部欧州のドイツ、チェコオーストリアハンガリーを8日間ほどで駆け足旅行してきました。一番印象深かったのは、新型コロナウイルスの影響で、どの観光地も中国人が皆無。恐らく韓国人もいないでしょうから、アジア人なら日本人と少人数の台湾、香港人だけのよう。取りあえず、中国人らがいるわいわいした感じがなかったのが良かったです。今、イタリアなどでかなり罹患者が増加しているんですが、中部ヨーロッパではマスクをしている人もなく、なんだか「そんな病気の流行あったの」みたいな錯覚にとらわれました。

 旅行前、ツアーのガイドさんから「欧州ではマスクをしていると罹患者に見られ、いじわるされたり、攻撃されたりするケースもあるので、止めて欲しい」と注意がありました。そこで、小生を含め参加者は成田までマスクをしてきたんですが、航空機内以降は皆、外すことに。確かに、トランジットしたヘルシンキ空港、最初に入った国ドイツでは現地の人がまったくマスクを着けていない。となると、やはり旅行者も付けにくい雰囲気がありました。

 ただ、現実的にはイタリアとか、フランスでは感染者が激増しているんですね。ドイツですら、われわれが去ったあとにかなりの感染者が出ていることを周辺国のテレビが伝えていました。北欧、中欧ではウイルスには無関心なのか、それとも、おおざっぱな国民性なのか、無知なのか。シェンゲン協定で、EU内では人々の移動は自由。ですから、イタリアなど流行地からの人間を国境で防ぐことはできないんです。オーストリアは実は、ドロミテ高原を挟んでイタリアの重感染地域のミラノなどイタリア北部と隣り合わせなんで危険なんですが、ウイーンでマスク予防している人は皆無でした。

 ウィーンは観光で持っている街。中国人、韓国人が来なくなり、日本人も出不精になっていることから、観光客相手の商売は上がったりの様子でした。日本人向けの免税土産物ショップの店長は「ウィーンは音楽、美術の都なので、学生の観光客が多いところで、しかも今は卒業旅行のベストシーズンなんだが、日本で小中学校の休校を決めたあとにガクっと観光客が減少した。毎日の売り上げは50%以下になっている。このまま半年も続くと従業員の解雇どころか店の存続の問題にもなる。日本でワイドショーはじめ、コロナウイルスのニュースを誇張し過ぎている」と嘆いていました。

 プラハチェコグラスを売っている土産物屋には日本人と中国人のスタッフがいました。外国語ができないそれぞれの国の観光客に対応しているんですが、小生はこのうち中国人スタッフと話して見ました。河北省保定出身の男性、福建省アモイ出身の女性の若い2人。中国人客がいないので、商品説明や対応の必要がないので、日本人客向けにお茶、コーヒーのサービスを担当していました。小生が中国語で話しかけると、手持ち無沙汰だったのか、長く話し相手になってくれました。当然2人が担当するセクションの売り上げは激減で、2人の雇用に関わっているような感じでした。

 ウィーンでは、われわれのツアー仲間8人で中華料理店に入ったのですが、中はガラガラで、夕食時なのに、西洋人客1人が食べていただけでした。店主も「イヤー、中国人客が皆無になったので、経営が難しい」とこぼしていました。小生、これを見て逆に思ったのは、現在、欧州でいかに中国人観光客を当て込んだ店が多いかということ、そしてコロナウイルスが飛んでもない影響を与えているということです。

 ブダペストドナウ川の夜景見学クルーズに参加しました。われわれは夕食を食べたあとのアトラクションでしたが、エジプトのナイル川と同様に、ここのナイトクルーズもブッフェ付きに人気があり、これまでは中国人客で賑わっていたそうです。しかし、今は中国人が来ないので、ブッフェ船は虚しく係留されているだけ。ガイドによれば、夜景見だけの日本人観光客にはいつもは漁船に毛の生えたような船しか手配してくれなかったそうですが、今回は中国人向け(?)のヒマになった一艘のブッフェ付き豪華船を回してくれました。

 本来なら、ウィーンのシェーンブルグ宮殿や美術史博物館、ブダペストの夜景見クルーズは行列ができるほどの人気観光メニューです。が、今回はどこも行列なし。中国人が出国禁止になったことが、われわれにとっては”不幸中の幸い”になりました。

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 上の写真はドナウ川の夜景。上の方はくさり橋、下の方は国会議事堂のライトアップ。