つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

今場所精彩ないが、炎鵬人気は相変わらず

 大相撲好きであることは、当ブログで再三書いていますが、小生、好きな割には実際に両国国技館にまで足を運んでいません。どういう風に勝負をつけるかといった相撲の取り口自体が好きなのであって、別段この力士の土俵姿を直に見たいとか、さらにはナマの雰囲気を味わいたいとかの希望は持っていないからです。でも、先週金曜日、ゴーツゥトラベル・パック旅行を利用して久しぶりに両国国技館へ11月場所を見に行きました。座席は向正面升席最後列に近いところ。向正面は行司が邪魔になってちょっと見にくいのが難で、やはり相撲は、アップで見られるテレビ桟敷が一番いいのかも知れません。

 それはともかく、小生は小兵力士が好きなので、毎場所炎鵬に注目していますが、今場所は精彩がありません。初日から8連敗の負け越し、国技館に行った6日目も、今場所好調の千代の国に簡単に倒されてしまいました。この時、近くの升席にいたご婦人が「まるで大人と子供ね」と正鵠を得た感想をもらしていたのが印象的でした。確かに、今場所の炎鵬の姿を見るにつけ、痩せていてチビだからとても幕内の相撲取りには見えません。なんだが、序の口力士が幕内にいるようで、可哀そうな感じでした。

 8連敗のあと昨日、一昨日となんとか勝ちましたが、一昨日の碧山との対戦では、足取りという小兵奥の手の勝利でした。図太い碧山の足を取りにいった炎鵬を見ると、ガリバーに挑む小人のような悲壮感が漂っていました。「小人」は差別用語らしいけど、これは童話だし、小生に差別意識はありませんから、念のため。昔、舞の海と曙戦を見ても感じたけど、100キロ以上の体重差がある者同士が、果たして公平なルールの上で戦っていいものかとしみじみ考えさせられてしまいます。

 でも炎鵬、幕内に上がった当時は威勢が良かったのに、ここ3場所は精彩がない。なぜか。一つの原因は、新型コロナの影響で、部屋間を移動する出稽古が禁止されていたこと。小兵力士はいろいろなタイプの力士と日ごろから稽古して、感覚を養っておかないといけないのに、その機会が奪われてしまいました。もちろん、彼が属する宮城野部屋には大横綱白鵬がいます。が、彼もずっと休場しているので、恐らく下位の者に満足な稽古をつけられないものと推察されます。同部屋の関取には十両石浦もいますが、彼も小兵なので、炎鵬にはそれほど役に立たない稽古相手でしょう。

 炎鵬は今場所精彩ないとはいえ、やはりファンは多いんですね。NHKオンデマンドの録画再生数を見ると、炎鵬の取組はいつも3番目以内で、特に勝ったりすると、ナンバーワンのヒットになります。本来なら、優勝に絡む貴景勝照ノ富士の取組の方が関心あると思われるのですが、、。炎鵬人気を見るにつけ、相撲ファンは小生と同じように、序盤、中盤では優勝争いより、むしろ取り口そのものを楽しみたいんだという人が多いと感じます。その点、炎鵬や十両の宇良は十分に楽しませてくれます。

 その宇良の方、久方ぶりに再十両となった今場所、ひざの怪我を抱えて15日間戦えるのか心配していましたが、昨日までのところ無事に推移。しかも、7勝3敗と勝ち越しが見えた申し分ない成績で、ささやかな贔屓筋の一人として満足しています。今場所、足取りや居ぞりなどの小兵技も繰り出したけど、基本的には体重も増して押しの力が強くなっており、もう炎鵬、石浦のような小兵とは違う感じもします。

 最後にいつもながらの注文。テレビ中継の録画再生では、しばしば向正面からの映像が映されますが、やはり力士2人が行司の陰になって見にくい。これは実際に、小生も先週、国技館の向正面からの観戦で感じたことです。であれば、行司は力士が立ち会った後、いや、それより前の軍配を返す時から土俵下に降りていたらどうか。四方全体から土俵を見るという観点から言えば、行司は邪魔以外の何者でもない。土俵下に降りて、背をかがめて足元を中心に力士の動きを見れば、勝敗はより鮮明に分かる気がしますが、これは、土俵の華である行司に対しては失礼な物言いでしょうか。

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 上の写真は、悲壮感漂う炎鵬と升席最後部C席に陣取る小生。