つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

マスク顔でも幸せそうな人って分かるのか

 オリンピックも終わり、何だか少し静けさを取り戻した感じですが、世の中にはいろいろな事件が起きるものです。先般小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅付近を走行中に、36歳の刃物男が周囲の人を襲い、傷つけたとのこと。まあ、周囲の人はわけもなく、突然切りつけられれば、唖然というか、驚愕というか。信じられない事態だったかと思います。米国ではよく銃を乱射し、複数人を射殺する事件が起きます。その点、日本では銃所持が許されない分だけ大量殺傷はなく、まだ助かった感じもしますが、事件に遭遇した人であれば刃物でもやはり怖い、くわばら、くわばら。

 刃物男対馬悠介容疑者は犯行の動機として、「周囲に幸せそうで、勝ち組と見られる女性がいたので、殺したくなった」と供述しています。本当にそうなのか。ニュースのあと内人と話したのですが、「幸せそうな顔って、果たしてどんな顔」「勝ち組と見られる容姿って、どういうのを指すのか」。今、コロナ禍の中で、電車の中ではほぼすべての人がマスクをしています。そんな状態で、一目見た他人から、この人は幸せか、こいつは勝ち組だなどと読み取れないと思うのですが、対馬容疑者は分かるのか。

 対馬容疑者はまた、「自分はハンサムなのに、女性に持てなかった」と言い、それを犯行の動機と結び付けています。この供述を見る限り、非常に自己中心的です。自分を客観的に見る力がない。普通の人間なら、女性に持てないと感じたら、自分のどこがいけないのか、どの部分が嫌われるのか、さらには本人が思うほど自分は本当にハンサムでないのかもなどと、一度冷静に自分を眺めて反省してみるでしょう。が、彼はそういう行動を放棄し、劣等感をストレートに他人への危害に転化させてしまったのです。

 戦前、岡山県津山市で人妻に横恋慕し、そのことで周囲から馬鹿にされると、夜中に日本刀と猟銃を持って家々を襲い、就寝中の村人を複数人殺傷した22歳の男がいました。世に語り継がれる「津山30人殺し事件」です。また近年でも、2008年に秋葉原の人通りが多い中にトラックを暴走させ、7人を殺し、10人に重軽傷を負わせた男がいましたが、こういう無反省の自己中心的な人間はいつの時代でもいると思います。

 でも、われわれは事件に遭遇した時、こういう男にたまたま接近してしまったのを不幸だと思い、あきらめるしかないのか。いや、小生はそうは思いません。こういう男を事前に見分けることは可能です。必ず、犯行の前に挙動不審な動きを見せるものです。われわれが注意しなければならないのは、世の中にこんな人間がいることをあらかじめ想定し、絶えず周囲に不審者がいるかどうか目を配ることでしょう。

 それから、もう一つネットで話題になっていることに触れます。河村たかし名古屋市長の金メダル”丸かじり”事件です。小生、河村市長って結構筋の通ったことを言うので、嫌いな人間でなかったのですが、それだけに今回の件は、正直驚きましたし、非常に残念です。表敬訪問したオリンピック優勝のソフトボール投手後藤希友選手の金メダルを実際に歯でかじってしまったのですが、普通、他人の持ち物を突然口の中に入れることなど、ありえない。しかも、相手は20歳やそこいらの若い女性の持ち物です。

 70歳過ぎの良識ある人なら想像できると思いますが、まず、自分がされたことを考えてみたらいい。自分が大事にしている物を他人に見せたところ、相手が「これは良いものだ」とばかりに突然ペロペロ舐め出したらどんな気分になるか。「あー、汚ねー、止めてくれ」となるでしょう。後藤選手も内心そう思ったでしょう。でも相手が市長であれば注意できない。彼女が偉いのはその場は薄笑いでとどめ、「あとで洗って消毒すればいいか」とばかりに許容したことです。

 河村さん、金メダルをかじれるのはそれを取得した選手だけの特権です。せめて口を近づけても、かじる真似程度にとどめておけば、あれほどまでの反発は買わなかったでしょう。つまらないことで評判を落とし、政治家としての品性、さらには能力まで問われるのはあなたの本意ではないはずです。

 上の写真は、伊勢佐木町モール「ドン・キホーテ」店頭水槽のうつぼ。うつぼは海の中で狂暴だそうですが、街の中にも狂暴な人がいるものです。

The Second Waltz - Dmitri Shostakovich, André Rieu - YouTube

 アンドレ・リュウのテーマソング。