つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

張本勲氏のコメント、それほど問題か

 オリンピックの女子ボクシングで入江聖奈選手が金メダルを取ったことに対し、サンデーモーニングの番組で、コメンテーターの張本勲氏が「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね。嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って…。こんな競技が好きな人がいるんだね」とコメントして問題になりました。日本ボクシング連盟がTBSに抗議文を出したとのこと。それで、きょうのサンモニでは、MCの関口宏氏も張本さんも謝っていました。正直、小生はこの程度のコメントで謝る必要があるんかいなと思いました。

 張本氏のコメントでいったいだれが傷つくのでしょうか。入江選手が傷つくのか。ボクシングが殴り合いであることは何人も否定できないこと。「女性でも殴り合いが好きな人」と言ったところで、入江さん自身がスポーツとして認め、殴り合うことを前提にこの競技をしているのでしょうから、「なんという差別発言だ」なんて絶対思わないし、不快感を持つことはないと思われます。

 「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を…」というのも、まあ張本さんくらいの年齢からすれば、至って素直な感覚だと思うし、そこまでの年齢に達しない人でもそう思う人はかなりいると思います。かくいう小生も、もし女の子供がいて「ボクシングをやりたい」と言ってきたら、「絶対止めろ」と言っていたと思います。というのは、小生も同じ格闘技の空手をやっていて、自分の組み手の試合の目の前で前歯を折った人を見ていますし、自身も、練習の時に回し蹴りを食らって肋骨を折ったことがあります。

 いくらヘッドギアを付けているからと言っても、歯や肋骨を折る恐れがないわけではないのです。親心があるなら、ボクシングなんて止めて欲しいと思うのはごく自然の感情。それは嫁入り前でも嫁入り後でも関係無いですが、、。でも、本人が自己責任でやると言えば、もう止められないでしょう。張本さんの発言で基本的に問題はないと小生は考えます。敢えて問題があるとすれば、「こんな競技が好きな人がいるんだ」と、ちょっと競技自体を小馬鹿にしたような言い方をしたことでしょうか。これがボクシング連盟を少しカチンとさせ、抗議に出たのかも知れません。

 張本さんは日本人が金メダルを取ったことを非常に喜んで、その喜びのあまり調子に乗って、悪乗りしてしまったのだと思います。ちょっと茶化したことを言って、番組を面白くしよう、盛り上げようというサービス精神があったのかも知れません。小生には、張本さんが心の底から女性のボクシング、ボクサーを軽蔑したり、差別しているようには思えませんでした。

 格闘技の女子競技のことを言うのであるなら、ボクシング以外にも、今回、空手の組み手もあったし、テコンドーもあった。危ないと言えばみんな危ないのだから、張本さんは本来ならどれもこれも危険性を指摘しなければならないのです。ただ、ボクシングだけに言ったというのは、入江選手が良く頑張って金メダルを取ってくれたという嬉しい気持ちの表れだったと思います。彼が「舌足らず」と言ったのは、その辺のほめるべき後段の言葉が抜けてしまったということでしょう。

 ところで、小生は過剰な言葉狩りには賛成しませんし、正直嫌です。言葉狩りはマスメディアの一部やある特定の団体が推進していますが、基本的に差別性がない、それによって極端に不快感を感じる人がいない発言であるなら、極力批判は控えるべきだと思います。マスメディア側も言葉狩りにまい進すると、自らの表現の範囲を縮め、コメントも文章もつまらない言葉ばかりになってしまいます。それどころか、極端に言えば言論の自由が奪われかねない事態になると小生は思っています。

 そして、今日のサンモニ。張本さんのコメントに勢いも面白味もありませんでした。発言の一つ一つに揚げ足を取られまいと必死になっている様子が見られ、かわいそうでなりません。小生は張本さんの贔屓筋なので、残念です。

 

上の写真は、小生の自宅近くを流れる横浜・大岡川で見たスタンディング・パドル・ボード。これも泳げない人にとっては、危ないと言えば危ない。

E lucevan le stelle - Rolando Villazón - YouTube

プッチーニ歌劇の中のテノール・アリアとしては一番好きな曲。