つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

それでも、自民、維新のバンドワゴンは突き進む

 参院選は22日に公示されたばかりだというのに、驚くことに、その翌日、朝日新聞はインターネットによる情勢調査という形で、早くも候補者の優劣情勢を紙面で発表しました。それによると、自民、公明の与党で改選過半数の63議席に達し、非改選を含めると、定数の過半数(125議席)を上回りそうだというのです。多くのメディアにしても、政党にしても、自公が勝つことは当然のことと予想しておりましょう。問題は、改憲勢力である維新の会、国民民主党を含めて3分の2の議席を確保できるかという点だと思います。

 朝日調査によると、一人選挙区で野党側は振るわず、立憲は改選前の23議席を割り込む可能性があるというのです。反対に、同じ野党でも、今飛ぶ鳥を落とす勢いの維新の会は改選前6議席の倍増も考えられるとのこと。今春以降、どのメディアの政党支持率調査を見ても、立憲への支持は7-8%で、9-10%の維新に及びません。それを基に単純に予想すれば、今回参院選の全国比例区では、当然維新の獲得数は立憲を抜くということです。維新の松井代表も、野党第一党にこだわって、この比例区での最多獲得を目指しているようです。

 では、なぜ朝日がこの時点で野党劣勢、とりわけ立憲の劣勢を伝えるかということですが、それは多分にアナウンスメント効果を狙ったものでしょう。改憲に反対の朝日は、同じ立場の立憲、共産党が大好きで、なんとしても勝たせたい。でも、事前の世論調査で維新に比べ劣勢である状態を見ると、本番で大幅に議席を減らしてしまう可能性が大。そこで今、「立憲が劣勢、劣勢」と声高に言っておけば、潜在的な反与党勢力が眠りから覚めて投票所に行き、立憲、共産に票を投じることになると期待しているのです。

 一般に、一定の選挙区で競り合っている候補者は、選挙期間中のメディアの予想では、劣勢と書いてほしいと願っています。優勢だと知れば、有権者は「儂一人ぐらい投票しなくてもあいつは勝つんだろう」と思うし、逆に劣勢と知れば、普段ふて寝を決め込む潜在支持者でも「なんとしても勝たせたい」と思い、投票所に行くことになります。ですから、陣営を引き締めるためには「劣勢報道のアナウンスメント」は多分に効果的なのです。

 ただ逆に、バンドワゴン効果というのもあります。特に、全国を対象にした比例区なのでは、その動きが顕著になります。どういうことかと言うと、事前の予想で、「ある政党が優勢だ」と書かれると、有権者はその政党に注目し、「そうかこの政党はこんな政見を掲げているのか」と改めて知り、さらに勝たせようとする自然なうねりが起きてくるのです。いわゆる勝ち馬に乗るという現象。という観点から見ると、今、バンドワゴン効果が期待できる政党はどこか。

 ロシア軍のウクライナ侵攻で安全保障問題がクローズアップされています。ですから、今、世間は自衛隊憲法に位置付ける改憲派が多数を占めるようになったので、うねりは改憲の方に向いています。改憲消極派の立憲は仕方なく、「物価高騰は岸田の失政のため」などと喧伝しています。だが、物価高騰はウクライナ戦争に起因する世界的な傾向であり、独り岸田の問題ではないことは多くの人は承知しています。という意味で、物価高騰での与党批判は的を射ていません。朝日がアナウンスメント効果に努めようと、自民や維新のバンドワゴンは華々しく突き進んでいくでしょう。

 上の写真は、横浜みなとみらい地区にある「アンパンマンこども博物館」入り口の風景。