つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

安倍派の継承者は誰になるかが最大の関心事

 安倍元首相が凶弾に倒れて間もなく2週間になろうとしています。小生にとって、自民党は好ましい政党だと思っているので、8年以上にわたってそのトップを務めてきた安倍氏に不快感はありません。むしろ、国の安全保障への考え方、外交活動を見るにつけ、素晴らしい指導者だとさえ思っていました。ですから、強くは望みませんが、国葬が挙行されても差し支えないと思います。国民の2割程度の人は反対らしいですが、反対の人たちは改憲反対、防衛力増強反対、原発反対で、自民党のやることは何でも反対の人たちですから、真面目に対応する必要はないと思います。

 安倍氏の死去とは自民党最大派閥の長がいなくなることですから、政局がどうなるかという点に関心が高まっています。岸田首相はこれまで最大派閥で影響力を持つ安倍氏を無視できませんでしたから、彼がいなくなってかなりフリーハンドの政局運営ができるようになり、内心ほくそえんでいるのではないかと推察できます。同じように、次期総裁を目指す河野太郎氏、昨秋の総裁選で二階に上がって梯子を外された感のある二階俊博氏らも、まあまあ好ましい状況になったのかと思っているのではないか。

 逆に、安倍の不在を嘆いているのは、安倍とともに二人三脚で政権運営に嘴を入れてきた麻生太郎氏でしょう。彼自身が再び総裁になれる可能性が99%ないので、彼の党内での相対的な弱体化によって派内は次期領袖をめぐって河野太郎甘利明の対立が激しくなるでしょう。で、結局、麻生自身がお払い箱になるのかも知れません。菅義偉氏も安倍政権を必死に支えてきた人で、安倍の後押しによって菅が構想した政策がかなり実現されてきただけに、安倍がいなくなったのはショックだと思います。

 菅は自身がトップなると人気を得ないことを昨年実感し、彼が再びトップを目指すことはないでしょう。ただ、政策実現のためにはもう一度安倍をトップに据え、自分が”番頭”になる構図を考えていたと思います。安倍は死去時まだ67歳ですから、菅の就任時(72歳)を考えれば、安倍が三度目に立つことは不可能でなく、菅はそれに期待していたと思います。という意味では、その可能性が100%なくなった安倍の死去で、菅は今、呆然自失ではないでしょうか。

 安倍の不在により、今最大の関心事は93人の議員がいる安倍派を誰がコントロールしていくかという点。「塩谷立下村博文両副会長の下、当面安倍派を名乗り、代表者を立てず、一致結束していく」とこの両副会長は語っていますが、果たして集団指導体制などできるのかどうか。派閥というのはやくざ組織と一緒で、もともと親分の下に子分がいるという構図ですから、親分がいなくて代貸と組員ばかりでは所詮馬糞の川流れのようにバラバラになってしまう恐れ大です。

 安倍自身は派内の次世代ホープとして萩生田光一経済産業相松野博一官房長官西村康稔安倍派事務総長、世耕弘成参院安倍派会長の4人を挙げたらしい。面白いことに安倍自身と違って世襲の世耕、財務省出身の西村以外の2人は地方議会からのたたき上げの人なんですね。中でも萩生田を高く買っていたらしい。では、萩生田で派全体がまとまるか言えば、そうも言えないでしょう。西村が萩生田を最大のライバルと見て、彼の台頭を恐れてないがしろにする態度を取っています。早くも対立の芽が出ています。

 安倍派内にはこのほか、女性議員で防衛相を歴任した稲田朋美もいるし、福田赳夫、康夫の爺さん、父さんの元首相に連なる御曹司で現党総務会長の福田達夫もいる。福田がもっとも若いので、いっそのこと福田で行こうという勢力もあるそうな。さらに、元安倍派の無派閥議員で、昨年の総裁選で安倍が強く推した高市早苗現党政調会長もいる。高市は昨年、議員票をかなり取ったことから、党内では次期総裁の有力候補と認知されているよう。安倍と思想的に近いことから、安倍派の中でも高市崇拝者も多くいます。結局、だれが次期会長になっても対立が起こり、派は割れてしまう可能性が大でしょう。

 上の写真は、京都で見かけたコスモスと野毛山に咲いていた雑草の花。