つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

岸田さん、信念ある政策実現はないのか

 月末近くなると、各メディアが毎月ごとの内閣支持率の調査結果を発表しますが、今月の日経では、支持39%で前月から8ポイント下落、読売では41%で、前月比15ポイント下落だとのこと。G7広島サミット開催、それにウクライナのゼレンスキー大統領を急遽参加させたことで、一気に評価が上がったので、一時はこの勢いで解散・総選挙もなどという話もありました。が、人気は所詮サミット時の一過性のものでした。もともと岸田首相は政治的なスタンスに問題があってどうも人気が出ないようです。

 はっきり言います。岸田という政治家は、私が首相になったらこの政策だけは実現させたいという確固たる信念、明確な目標を持っていないように感じます。安倍氏は実現できるかどうかは別にして憲法改正という目標を掲げていました。菅義偉首相も国家目標は安倍政権を引き継ぎながら、政策的には就任前から官庁デジタル化の推進、携帯電話料金の引き下げ、少子化対策のための不妊治療の保険適用など庶民受けする政策をぶち上げました。菅は首相になったらこれをやり抜くという信念があったように思います。

 それに比べ、岸田はもともと首相に就任することだけが目的で、政治家としての政策実現目標はなかったように感じます。ある評論家が「首相になったら、真っ先に何をやりたいですか」と聞いたら、「まず人事をやりたい」と答えたそうな。人事とは、こういう目標があるから、こういう人事配置にするというものです。先に実現すべき政策がなくてどういう人事がしたいのか、首相になったためにとりあえずお礼、論功行賞をしたいのか。力を見せたいのか。人事とは権力を弄ぶことですから、この人、そういう欲望しかないのか、何を考えているのかと思いたくなります。

 それでも、国民が注視しているので、就任すればなんらかの政治家としての方向性を打ち出さなくてはなりません。で、出てきたのが「新しい資本主義」。小生などは「はー?」といった思いにかられ、食べたご飯粒を噴き出してしまいました。最初に彼の説明を聞いたときも、何を言っているのかまったく分からない。恐らくだれかの吹き込みを受けただけで、自分自身その内容を咀嚼できていないからだと思います。まあ、小生がそう感じたのですから、選挙民のほとんどもそう思ったに違いなく、ましてや霞が関、永田町にいる人たちも愛想を尽かしたのだと思います。

 ただよく見ると、この首相は異常なほどに支持率を気にするタイプ。コロナでワクチンが必要だとの世論調査結果が出ると、それを徹底させたり、最近ではLGBT法案化の支持が高いとなるとそれにも突き進んでいきます。また、広島サミットの無事開催が世間の評価を高めると見ると、それにもまい進していきます。これらはもともとの彼の持論かというとそんなものでなく、恐らく問題が出てきた時にどちらを選択したら、自分の支持にプラスになるのかという視点での判断なのでしょう。

 そのために、コアの自民党支持層からは、なーんだ世論の動きだけで決める風見鶏じゃないか、これだけは譲れないという保守的なスタンスはないのかと不満が出てきます。政治家としての信念を持たず、風見鶏執政では所詮安定的な支持は得られないでしょう。再三例に出して恐縮ですが、小泉元首相は郵政民営化を叫び、その実現にまい進しました。その実現のために解散し、政治生命をかけたのです。多くの有権者郵政民営化そのものがいいか悪いかなどという問題を度外視して、小泉という政治家の確固たる信念を感じ、支持しました。

 政治家というのはそういう信念が大事です。サミットが成功したので選挙をしようとか、いやその後にバカ息子のスキャンダルが出てきたので、今選挙をしたら負けそうだなどという判断で解散・総選挙を弄ぶのは止めて欲しい、愚の骨頂です。郵政民営化の小泉、消費税導入の竹下のように、政策実現に政治生命をかけての選挙にして欲しいと思います。でも、2年近く首相をやっていてそういう信念を感じないのであれば、やはり彼の政治的な資質に問題があるのでしょう。

 上の写真は、今は盛りと咲いている紫陽花とランタナ