つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中国から日本への嫌味な電話は「五毛党」の仕業

 福島の原発事故後に出たトリチウム入りの処理水を海洋放出することで、中国が必要以上に”反発”し、政府レベルが公式に批判したほか、中国から大量の批判電話が日本各地に殺到しているとか。面白いもので、以前も書きましたが、放射能汚染の水は中国では日本の10倍の濃度のものを海洋放出しているのですが、これには一切触れず、またこれに言及した中国国内SNS上のツイートはすぐに削除される始末です。誠に勝手、一方的な仕儀に呆れるばかりか、それを通り越して、笑ってしまうほどです。

 中国には党・政府に迎合的な意見をSNS上に載せる「五毛党」という集団がいます。彼らは党・政府に都合のいい言辞をさも個人意見のような形で国内で拡散することで金をもらっている連中です。最近、日本各地に来ている「86(中国の国番号)」の嫌味な電話は皆この五毛党の仕業でしょう。明らかに党・政府の”国策”に沿って集団的、機械的に日本への嫌がらせをしているのです。何のためか。それは国内的な困難さが、大変さが党・政府への批判に向かないよう海外に攻撃対象をつくり、それを煽るためです。

 国内的な困難さ、大変さとは何か。それは経済的なシュリンクです。この件にはついては多くは語りません。「日暮高則のチャイナスクランブル」というWEBサイトを見ていただければ、詳細に書いてあります。昨今、一番大変なことは若者に就職口がないことで、これで若者の恨みを買っています。ですから、本来この怨念は党・政府に向けられるべきなんですが、そうなるとそれこそ国家の基盤、システムが大変なことになってしまいます。それで、何か若者の鬱憤の吐け口がないかと探していたところ、いわゆる”汚染水”の問題があったということです。

 日本は基本的に攻撃されても反発しません。米国などはすぐに報復に出ますが、日本は報復は大人げないと思っているのか、それともまだ中国との国家関係、経済関係が大事、壊したくないと思っているのか、基本的に攻撃に対し報復に出ません。それは中国党・政府の思うつぼで、近年の歴史を見れば、格好のスケープゴートになってきています。ましては、岸田首相、林外相はもともとは親中国派であり、強く出ないことは中国側も百も承知なのです。残念ながら、そういう構図の中で、日本は“ヤリ玉”に上げられました。

 考えてみれば可笑しな話です。福島沖の太平洋に放出する処理水が東シナ海南シナ海に直接的に影響するわけがない。もし、日本近海の海が汚染されていてその海産物が危ないというなら、日本近くのロシアだって北朝鮮だってその海産物は危ない。でも、中国は日本産の輸入禁止をしても、ロシア産や北朝鮮産の輸入禁止などとは言っていません。これ一つとっても日本の海産物だけ禁止というのは明らかに論理破綻しており、日本だけを標的にしての政治的な判断、嫌がらせとしか思えません。間違いなく日本が米国に呼応して半導体製造装置などの輸出停止をしたことに対する報復でしょう。

 日本のマスメディアは処理水排出問題について、中国国内で街を歩いている人にインタビューしていますが、これはまったく意味がありません。中国人が顔をさらした状態で党・政府に逆らうような発言をするはずがないのです。小生の中国人友人も、日本に来て周りに中国人がいるようだと決して本音の発言をしません。中国人が公の場所で、自由意思に基づき自由に発言できる自由な国ではないということをわれわれは事前に十分理解しておかなければなりません。

 いや、インタビューに本音で日本批判している人もいるかも知れませんが、それは単に彼らが無知なだけなのです。中国のメディアはすべて共産党が握っている官制メディアですから、放送している内容はすべて党・政府の方針に基づく発表。ロシアでも同様ですが、物事をグローバル、俯瞰的に見ないで、独裁政権の発表ばかりを信じている人がいることは確かで、彼らは政府の見解をオウム返しに言うのです。それはある意味、”お上”に従っておけば身の安全は保てるという本能的な反応でもあります。

 ですが海外留学組も多い昨今、中国知識人の多くは、VNPなどを使って国内規制を乗り越えてネットにアクセスし、広く世間を知っているはずです。福島沖の海より広東省沖の海の方がはるかに放射能汚染されていることを承知しています。残念ながら、彼らは国内でその”真実”を宣伝することはできません。国の方針に逆らうツイートをすればすぐに削除されるし、場合によっては危険分子とみなされ、監視、逮捕もあり得ましょう。スパイ摘発に熱心な恐い国ですから。自由のない国に真実はないのです。

 上の写真は、礼文島に行く途中、船中から見た利尻富士。下の方は、利尻島の姫沼に映った逆さ利尻富士。先週2島を訪問しました。