つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ビズリーチ、自己申告書で自分をどうアピール?

 最近、テレビのコマーシャル(CM)を見ていると、サラリーマンに転職を促すものが多いように見受けられます。DODAIndeedビズリーチとか。小生が現役のころ、いや就職する1970年代初めのころ、就職先は結婚と同じように一生もの、いったん働く企業を決めたら、それを前提に人生設計するという考えが主流だったと思います。ところが、結婚はとうの昔に一生ものでなくなり、今ではバツイチとかバツ2とかが、男女ともむしろ誇らしい経歴としている人もいるようです。

 言うまでもなく、従来あった日本の生涯雇用、年功序列型人事、賃金制度も良いところが結構ありました。100%否定されるものではありません。同じ会社にいた方が社員は長期的な視点で育成されるし、企業側もそういう形でキャリアを積ませ、人事配置ができます。その結果、社員は会社に愛着がわくし、忠誠心も生まれるというものです。かつてはこの企業忠誠心が企業を発展させる原動力としてかなり重視されていました。

 ですが、企業がより国際競争力を持つためには、もうそういう旧来の日本型雇用形態は古いのかも知れません。一定の仕事にはそれにふさわしいスキルと経験を持った人材が当てはめられるという欧米式のジョブ型雇用形態が導入され、それが日本にも波及してきました。小生はサラリーマンを辞めて久しいので、最近の事情はつまびらかにしませんが、テレビCMを見る限り、そういう印象を持ちますし、結論を先に言えば、日本もジョブ型に替わってきてもいいのかなと思います。

 いや、最近の若者自身も一つの企業に縛り付けられるより、スキル、能力で企業間を渡り歩く方が良いと考えている人も多いように思えます。つまり、日本の雇用形態は雇う方も雇われる方も欧米式ジョブ型信奉者になりつつあるようにも見受けられます。例えばテレビCMによく出て来る転職あっせん企業ビズリーチ。小生は詳しくないのですが、CMを見て想像するに、サラリーマンが自分の職歴やスキルを申告登録し、ネット上で一般公開。他社でそうした人材を欲しがっていたら、本人と連絡して転職を促すというものらしいです。

 まあ、メルカリのように物品の中古市場がネット上に数多くあるので、就職人間の”中古市場”があったって全然おかしくない。サラリーマンが今いる企業で自分を適正に評価されないのなら、他企業に移るというのは賢明な選択かも知れません。テレビCMでは「あんたの能力、スキルは想像以上」と叫び、他社なら高く評価されそうだよと色気を持たしてくれるのは、意欲ある人間側からすれば、悪い気はしません。でも、よくよく考えてみてください。一般企業のサラリーマンってそんなに他社に売れるほどのスキル、能力があるのか、また、それを自慢できるのかって。

 もちろん、「師」や「士」が着く一定の資格、免許を持った人は就職市場でも”流通性”はあると思います。いわゆるビズリーチが言うところの市場価値は文句なしにあるということです。でも、事務職や営業職の一般的な仕事をしてきた人が他社を引き付けるほどのスキルがあると見なされるのかははなはだ疑わしい。そういう意味で、前にも書きましたが、やはり学生時代から一定のスキルを身に着けるか、就職に役立つ資格を取っておくべきだと思います。

 そう言えば、昔香港で働いていた時に「日本語がものすごくできる」と履歴書に書き就職を希望してきた香港の現地人といざ日本語で会話してみると、ほとんどできなかったという例がありました。これは香港人特有なのか、彼らは謙遜さがあまりなく、自己申告の場合、能力面を針小棒大に誇張するケースがよくあります。

 ということで、自己申告の場合、書き方が非常に難しいと思います。日本人は特に謙虚、謙遜型人間が多いし、社会全体はそれを美徳とし、企業もえてしてそういう人間を欲しがります。ですから、われわれも普通に誇張して書いてあとでがっかりされるより、謙遜したあとで相手に「意外にできるな」と思わせた方がいいとの方法もあります。誇張して書いて書類選考の段階で最初に目を付けてもらうか、それともあとでびっくりしてもらうか、自己申告書の書き方は難しいですね。

 上の写真は、米沢城とその付近のマップ。