つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

琴の若の大関昇進がせめてもの救いだった

 NHKのBSテレビで「どすこい研」「球辞苑」という番組があります。小生は出色の番組だといつもながら感心して見ています。ご存じない方に一応説明しておきますが、どすこい研は大相撲の決まり手や仕事、球辞苑はプロ野球ゲームの作戦、ポジションなどの一つひとつを取り上げてデータで分析するものです。例えば、相撲の決まり手である「上手投げ」や「肩透かし」は場所の何日目に多く出るかとか、行司や呼び出しにはどういう役割があるのかとか。

 野球では、「フォークボール」はどういうカウントの時に投げるのか、盗塁はバッターのどのカウントの時が多いのかなど。番組は、視聴者が普段気にかけていないことを過去のデータを分析して教えてくれるのです。感覚でなく、データで教えてくれれば説得力があります。プロ野球の選手はよく見ているそうで、プロでもアマチュアでも参考になることが多いと思います。こういうデータ中心主義の番組はデータ集めと分析に時間がかかるし、スタッフには大変な作業量だと思います。まずもって、こまめに調べていることに敬意を表したい。

 これらに比べて民放地上波のゴールデンタイムは、なんだかあまり売れていない漫才師2人組らが登場し、椅子に座ってわいわい賑やかしをしているだけの番組が多い。楽屋内だけで受けるようなネタを延々とやり、互いに仲間のつまらぬ笑いを引き立たせようと手をたたいて喜ぶ陳腐な光景にはあきれるばかりです。安上りに作っているなと思うし、もっと洗練されて、驚くような番組が欲しいなとも思います。

 データ分析からスポーツを見る方法は新鮮だし、実に面白い。できれば、野球、相撲以外の人気スポーツでもやって欲しい。サッカーなんてファンが多いのですから当然あってもいい。コーナーキックからゴールできる確率はどのくらいあるのかとか、セットプレーからの直接ゴールは何パーセントかとか、PK戦でゴールのどこを狙ったら入りやすいかとか、興味あるネタは数え切れません。ラグビーだってルールが分かりにくいだけに、もっともっとルールが分かりやすくなる番組を作って欲しい。

 それはともかく、大相撲初場所が終わったので一応コメントしておきます。残念ながら、今場所も”モンゴル大相撲”になってしまいました。横綱は休んでも地位が落ちないという特権を利用して照の富士はしばらく休み、体調を戻して出てきて優勝しました。番付上位であり、最後まで優勝争いをした4人のうち3人がモンゴル人関取というのもどうも気に入りません。日本人が弱いからしょうがないと言えばそれまでですが、やはり日本の国技なのですから、日本人同士で争って欲しい。

 特権の話のついでに書けば、大関・豊昇龍は13日目に2敗の相星で霧島に当たり、負けた後翌日に休場しました。それで、14日、千秋楽は横綱大関の戦いが完全に組まれない事態になって、面白みが半減しました。豊昇龍はすでに勝ち越しているので、来場所にカド番になることはない。という権利を最大限に利用して休養に入ったということでしょうか。そんなことが許されるのなら、大関はだれでも、勝ち越したものの優勝の芽がないと分かったらすぐ休場すれば良いということになってしまいます。悪しき先例になりませんか。

 大相撲の解説者がしばしば話していますが、15日間、マジに取り組みを続けるとしたら大変な運動量、疲労感も尋常でないでしょう。元白鵬宮城野親方は中継の中で、「10日目ごろが一番疲れて苦しい」と言っていました。でしょうね。「一日一番なんだからそれほどでもないんでは」と考える人は多いと思いますが、やはり真剣勝負が15日間続くのは大変なことだと思います。例えば、四つに組んでまわしを1分以上取り合っていれば、手や腕はぱんぱんになります。それで翌日も同じ運動をしなければならないとなれば、その疲れは半端ないでしょう。

 昔は1場所8日間、10日間だったので、それほどの負担はなかったと思います。でも興行重視で場所は延ばされていきました。小生は、15日間やるのなら、最初に8日間取ったあと1週間の休みを与え、2週間後に後半戦をしたらどうか、あるいは、3日間取ったあと、一日の休みを間に入れるというような日程でもいいのかも知れません。そういう提案をしたいのですが、頑な相撲界で改革は無理なんでしょうね。一つ言えることは、適度な休養を与えないで、疲労を蓄積させると関取の体はボロボロになってしまい、現役生活の寿命は短くなります。

 今回のモンゴル人中心大相撲の中で、まあまあ気休めになったのは琴の若が13勝して直前3場所33勝をクリアし、大関昇進を確実にしたこと。本当は優勝決定戦で照の富士を破って、両手に華の昇進をして欲しかったけど、それは実力だからしょうがないんでしょう。まあ、日本人でも大の里、伯桜鵬などの有望な若手が出てきているので、近い将来、日本人同士が争う展開に期待したいと思います。

 上の写真は、台北市・中山北路で日本統治時代からあるという有名レストラン「満楽門」。下の方は龍山寺近く華西街の観光ストリート入り口。華西街は小生の台北における定点観測地点、行くたびに変化をチェックします。