つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

外務大臣の容姿と日本外交は関係ない

 自民党麻生太郎副総裁がまたまた失言しました。講演会で上川陽子外相に言及した際、まず姓名を間違えて「カミムラヨウコ」と言い、「彼女」とか「あの議員」とかの代名詞を使わず、「あのおばさん」と呼び掛けていました。そして彼女の容姿に言及して「少なくともそんなに美しい方とは言わないが、…」とも述べたとか。まあ、発言の場は永田町でなく、ローカルな場であり、しかも麻生氏の地元で聴衆は身内ということで、少しは笑いを取りたいとでも思ったのでしょうか。それにしても、失言三連発はかなり問題かと見られます。

 でも、実は小生、「あのおばさん」発言に対してはそれほど目くじら立てる必要はないと思っています。この言葉自体に差別性はないからです。まさか「あのおねいさん」とか「あのおばあさん」とは言えないし、ましてや「お嬢さん」とも言えない。杓子定規にならない会合であれば、身内の会合であれば、少しは砕けた言い方があっても許されるのかなと思います。

 姓名を間違えるのはまずいですね。麻生氏自身が岸田総理から「麻生次郎(?)副総裁」と呼ばれたりしたらどうですか、良い気分でいられますか。小生も良く「日暮」を「日高」などと呼ばれたり、書かれたりした経験があります。他人のことを取り上げる場合は最大限その名前には注意が肝要です。小生などの小者と違って、上川氏は当選回数を重ねた国会議員であり、今は外務大臣です。国際的に有名であるべき人であり、そうあって欲しい人。それを自国の政党の幹部、それも有力幹部が間違えたとしたら、諸外国の笑い者になるだけです。

 今回の三失言のうち最大にまずいのは容姿に触れたことでしょう。麻生氏個人に限らず男性は一般的に、女性の容姿についてそれぞれ独自の印象を持つことは否めないと思います。でも、それは心の中にしまっておくことで、名指しして口に出すことではない、まして公の席で。上川外相の容姿と日本の外交とはなんの関係もないし、あの席でわざわざ言及する意味もありません。

 それとも、麻生氏は容姿の優れない人、特にそういう女性は閣僚はもとより議員などになるべきでないとでも思っているのでしょうか。それならお聞きしたいが、総理大臣までされた麻生氏はご自身の容姿をどう認識されているのでしょうか。俺こそは総理にふさわしいハンドサムな容姿を持っているとでも思っていらっしゃるのでしょうか。まあ、テレビのニュースで歩き方などを拝見すると、恰好付ける方だなとは思いますが…。

 すでにこの世にいない、冗談好きだった小生の親友は、見目麗しくない女性について「ふすまを思いっきり槍で突いて出る音のような方」という表現を使っていたけど、今考えればこれも問題だったかも。もちろん、こうした表現は男性同士の内輪の話の中で出てくるもので、公の場で語られるものではありません。

 酒飲みの席で他人のことに言及することは良くあることで、その時はその人の容姿や性格に触れることもありましょう。親しい者同士で他人の評価を共有し、それによってまた親しさを増すということも考えられます。だが、少なくとも公の場で安易に他人の評価を話すのはいかがなものか(ほめる場合は別ですが)。ましてや、麻生氏は自民党の重鎮です。自らの発言の影響力を考えるべきです。あるいは、影響力を知っているからこそ、上川氏の持ち上げに出たのか。そうであれば、もっと緻密に話を練り上げ、氏名の間違いなどして欲しくないと思います。

 上の写真は、野毛の隣ショットバー街吉田町の壁画と、春節の飾りも出た伊勢佐木町モールの風景。