つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

メッシの不出場に対する香港、中国の怒りは異常

 世の中、せこいというかあきれるというか、そんな話が数多くありますが、今回取り上げる話もそのような部類です。ちょっと旧聞に属しますが、あの有名なアルゼンチン出身のサッカー選手、リオネル・メッシの話。米サッカーチーム「インテル・マイアミ」の一員として香港に来て親善試合を行うというので、大陸からのファンも含めて大勢がスタジアムに押し掛けました。大陸でもメッシファンは多い。ところが、メッシは体調不良を理由に一回もピッチに立たなかったのです。で、観客は「メッシを見に来たのに、試合に出ないとは何事か」とばかりに入場料金の返還を求めたのです。

 メッシ一行は香港のあと日本に来ました。ヴィッセル神戸と試合をしたのですが、この時は試合後半の15分程度というわずかな時間に途中出場し、華麗なドリブルの足さばきを見せてくれました。メッシは実際に香港では足を痛めていて試合に出られる状態ではなかったようですが、日本に来た時には幾分回復したのかも。だが、香港、中国のサッカーサッカーファン、いやすべての国民が日本でのゲーム出場を見て、「香港では出ないのに、なぜ日本で出るのか。香港、中国をばかにしている」とさらに怒りを募らせたのです。

 まあ、メッシにしたら、体調の問題で、別段香港、中国と日本を差別するつもりなどなかったのでしょうが、彼らは許してくれませんでした。大国の中国をソデにして「小国の日本」に迎合するとは何事かという思いだったのでしょう。怒りはメッシ個人に対してだけでなく、アルゼンチン全体に向けられ、中国サッカー協会は、中国国内で3月に行われるべきアルゼンチンとの国際親善試合をキャンセルしてしまったのです。

 これはサッカー協会だけの判断でなく、中国指導部全体の意向のようです。なんと度量の狭いことか。中国の怒りにおののいたのか、インテル・マイアミは香港の試合の入場料金払い戻しに応じたとか。出場が期待されている人気選手が体調や何か一身上の都合で出られなくなることは良くある話です。そんな時にいちいち文句をつけて「入場料返せ」と言うのは度を越した要求だと思います。米メジャーでドジャーズ戦を見に行ってたまたま大谷が体調不良で出られなくなったら、同じような要求があるのでしょうか。まずありえないでしょう。

 ついでに、せこい話と言えば、ちょっと下世話になりますが、社会の裏事情に詳しい人からこのほど、こんな話を聞きました。最近、いわゆる風俗の店では酔っぱらった客をお断りしているとのこと。なぜかと言えば、酔っ払い客で理不尽な要求をする人がいるからだそうです。酔っぱらうと、男は概して”現場”において肝心の物が機能しないケースが多い。それでも女性と談笑して帰ればいいものを、逆切れする奴もいる。女性の”サービス不足”だとして、サービス料金の返還を求めるというのです。

 これを聞いて小生はあきれました。自らの”能力不足”を他人のせいにするのは世間ではよくあることですが、そんな場所でもそんな主張、要求があるのかい。理不尽極まりないし、随分せこい性分だなと思いました。メッシの出ないサッカー試合に怒るというのとちょっと違う感じもありますが、状況に応じてその現実を受け入れられないという点では似たところがあります。いずれにしても、小国のアルゼンチン、その国の選手にコケにされたということで、大国中国、国民のメッシとアルゼンチンへの怒りは収まりそうにありません。狭量の国や人につける薬はないのかな。

 上の写真は、薄暮のみなとみらい地区。大岡川沿いの散歩は楽しい。