つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

新宰相には斬新さ、若さ、保守層受けが必要だ

 岸田首相が続投しないとの声明を受けて、次期自民党総裁に名乗りを上げる人が続出しています。表面的には派閥が解消されたのだから、派閥の領袖とか昔の派閥全体の意向とか関係なく誰もが手を上げ、本当の姿、能力で首相にふさわしい逸材が出てくるのは国民側から見ればまあ、結構なことかと思われます。ただ、名乗りを上げた人を見ると、完全に今の時代が読めないとか、自分のことを勘違いしていると見られる人もいるので、一応この場で指摘しておきたいと思います。

 時代、いや時を読むという視点に立つと、例の裏金問題で自民党の人気がものすごく落ちているという点を理解しないといけません。幸か不幸か今、対立政党の立憲民主党が自民近くの人気を得て、自民政権に代わるといった感じは持てないのですが、それでも自民党がこれまでのようにのんべんだらりとしていたら、次期衆院選で単独では政権保持ができないほどに当選者数を減らす恐れもあります。今、自民党に求められているのは裏金問題を忘れさせるような若くて斬新なトップを選ぶということです。

 「斬新さ」というキーワードで見ると、これまで総裁選に出た経験のある人はそれに欠けると思います。例えば、石破茂はこれまで4度総裁選に出ていずれも「惜敗」ではない形で敗北している。そんな人がまたまた出て、国民に何をアピールできるのか。いわゆる世論調査で彼の人気がトップになるのは、単にこれまで何度も出て知名度があるほか、野党支持の回答者が彼の名前を挙げることが多いからです。

 これまでの総裁選で国会議員票が獲得できなかったのは、党内に人気がなかったためだし、霞が関にもあまり評価されていないと聞いています。党関係者に聞くと、石破氏は評論家的で、Aもある、いやBもあり得るとあれやこれや言うが、結局、なかなか意志決定しない人だとのこと。正直、今の彼の覇気のない顔を見ると、自民を刷新できる待望のトップというイメージがわきません。

 斬新さというキーワードからすると、総裁選に出た経験のある河野太郎も問題外だと思います。こう言っては失礼ながら、河野氏は見てくれが悪い。立候補を表明している茂木敏充林芳正斎藤健加藤勝信の各氏も能力的には申し分ないのでしょうが、いかんせん危急存亡の時には似つかわしくない。いずれも地味な雰囲気で若さが感じられない。国民が求める「新時代のリーダー」といったイメージは微塵も見られない。茂木氏は派閥の領袖なのですが、残念ながら「威張りすぎる」との悪評が付いて回り、党内全体の議員にも、霞が関にも人気がないようです。

 斬新性を感じさせるのは、「若さ」のほか「女性」というキーワードもあります。米大統領候補にカマラ・ハリスが出てトランプに肉薄しているように、女性の魅力は侮れない。高市早苗野田聖子上川陽子が名乗りを上げていますが、野田はすでに総裁選への出馬経験があり、新鮮味はない。いつも”賑やかしの候補”に過ぎず、泡沫扱いされてきました。絶対当選できそうにないのになぜ何度も出てくるのか、まったく分からない。上川は70歳以上の高齢で年齢的に無理。外相として官僚の書いた原稿を棒読みしているだけで、多くの人を納得させ得るようなステーツマンのイメージはない。女性であればだれでもいいということにはなりません。

 女性で唯一期待が持てるのは高市早苗です。彼女も前回総裁選に出馬していますが、8年も宰相を務めた安倍晋三から高く評価され、惜敗しており、新鮮味は消えていない。彼女のすばらしさは政策に明るいことで、しかも保守的なスタンスを維持していること。自民党の歴史で長期政権を維持した首相は佐藤栄作中曽根康弘小泉純一郎、安倍と保守的なスタンスを取る人ばかりです。やはり、保守層に受けない宰相は長続きしないということでしょう。閣僚として答弁に立ったところを見ても、激することなく理路整然、人柄も温厚そうで、明るい感じがして大衆受けしやすい。

 自民党を救うキーワードとして「若さ」はどうか。派閥の縛り、しがらみがなくなった今、若い政治家が出て欲しいと多くが思っていることでしょう。という点で見ると、小泉進次郎小林鷹之なのですが、総合力は小林の方が上でしょう。小泉は、かつて自民で同僚議員だったコメンテーターの金子恵美から「地頭(じあたま)が悪い」などと酷評されていました。それはともかく、43歳の若さと経験では大自民党を率いる胆力、能力はまだない感じがします。その点、小林はもう50歳近いし、西側先進国でもこのくらいの年齢でのリーダーはいます。能力的にも申し分ないし、靖国参拝でも見られるよう保守的スタンスもいい。

 ただ、財務省出身だけに小林の政権になれば、永田町は完全に財務省支配になってしまうかも知れません。財政規律派には受けるでしょうが、経済界は規律派を望んでいません。その点、高市は積極財政派で、小林の対局にいます。小生は現時点でどちらがいいかと言いにくいのですが、自民党政権を存続させるという観点で見ると、斬新性、若さ(60歳前半で比較的若い)、女性、保守という好キーワードを併せ持つ高市がベストかと思います。小林や小泉はもう少し先のリーダーであっても良いと思います。

 

 以下の表は、高橋洋一先生が示した候補者各人の評価。「次の首相候補」11人を辛口採点…「圧倒的1位」は高市早苗、では石破・河野・進次郎は? 麻生太郎が握る「高市旋風再び」の可能性

 

 上の写真は、昨日参拝した靖国神社千鳥ヶ淵戦没者墓苑靖国ではそれなりの人が社殿の前に列を作っていましたが、千鳥ヶ淵墓苑には誰もいませんでした。