つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

琴桜は大関なのに自分の型を作れていない

 本日千秋楽を迎えた大相撲は結局、小結大の里が優勝しました。取組後、本人は土俵下の控えで感激の涙を流していたし、父親も国技館に来ていかつい顔ながら感無量の表情を見せていました。また、彼の故郷である石川県津幡町ではパブリックビューイングがあり、大勢が集まって歓喜の声を上げていました。こうした光景を見ると、同じ日本人として感動しますし、地方が活性化する相当の経済効果をもたらしそうだと心底嬉しくなります。しばしば指摘して恐縮ですが、「またまたモンゴル人で終わるのか」という結末よりははるかに良かったと思います。

 小生、モンゴルに恨みつらみは何もありませんが、やはり大相撲の優勝は日本人であった方がいいし、横綱大関もできれば日本人で占めて欲しいと思っています。再三書いているように、日本人であれば力士は郷里と一体化しており、その力士が活躍すれば、当然地元は喜ぶ。先場所の尊富士の優勝の際は青森県五所川原市など複数の場所で場所後半にパブリックビューイングが開かれ大勢が集結して応援。その後、彼が地元に帰ったら市の人口以上の人が集まってパレードも行われました。

 もともとそういう景気浮揚のきっかけが作りにくい田舎の方では、大相撲力士の活躍は恰好の”材料”になるんですね。尊富士にしても、今回の大の里にしても、活躍が分かってくれば、直に見るため開催場所に駆け付ける人がいるでしょうし、力士の関係者で祝勝会を開く人もいるでしょう。関係グッズまで売れるとしたら、どれだけ経済効果があることか。大の里はとりわけ今年1月元旦、大震災があった石川県の出身ですから、被災者には大きな励ましになったのは疑いがありません。

 2場所続けて大銀杏が結えない関取が幕内優勝したのは前代未聞ではないでしょうか。それだけ、大相撲の現在は群雄割拠、世代交代の時期に差し掛かっているのも知れません。大の里と尊富士は間違いなくいずれも横綱大関を狙える逸材だと思いますが、それでも、大銀杏が結えない力士の台頭が早すぎます。中二階組の琴桜はどうした?若元春、阿炎、大栄翔らとともにもっと頑張って優勝争いをして欲しかった。

 それにしても、特にがっかりさせたのが琴桜が14日に阿炎に負けたこと。今場所、最大につまらなくさせたのはこの勝敗一点です。相撲人気を盛り上がるためにもぜひ千秋楽まで大の里と相星で来て欲しかった。で、できれば優勝決定戦をして欲しかった。今場所せっかくおじい様のしこ名を継いだのですから、大銀杏の結えない力士に先行されては泉下のおじい様に申し訳が立たないでしょう。

 で、琴桜の相撲を検証すると、まだ必勝の型ができていないんですね。一応右四つが得意らしいけど、もともと左四つでも苦にしないようで、早い話、なまくら四つの力士のようです。若元春の左四つ、朝の山の右四つなどは一つの型として知られているが、琴桜は”なまくら”であるため、こうなれば勝つという組手の確固たる印象を観客、ファンに与えていない。実際の取り口も小兵力士を力任せに上から押しつぶすようにしたり、湘南の海みたいに大型力士に対しては立ち合いに横に逃げたりしていました。天下の大関がこんな取り方をしていては駄目。

 本人も体が大きいのですから、立ち合いに透かさず右前みつ、左上手を狙う型を完成させて欲しい。そして来場所はぜひ優勝して欲しい。今、照ノ富士は満身創痍ですし、貴景勝も首を痛めており、ほとんど期待できない。どうでもいいのですが、モンゴル人大関の2人も他を圧倒するような力がない。豊昇龍はおじさんの朝青龍ほどの切れ味を持っていないし、霧島も次の場所では関脇に下がるようですからもう華々しい活躍は無理でしょう。この際、琴桜と大の里が早々に大関で地位を固めて横綱に上がって欲しいと思います。日本人横綱の土俵入りが見たい。

 上の写真は、一番上の姉が眠る大宮霊園の桜のトンネル。ちょっと時期外れの写真ですが、琴”桜”の話題を出したので。桜はどこで咲いていても美しく、日本人の胸を打つ。